○粟島浦村村行分収造林条例

昭和56年3月23日

条例第8号

(趣旨)

第1条 この条例は、森林生産の維持培養と併せて森林資源を造成し、人工の造林により広く造林の普及を図り、治山治水に資するため、村が行う分収造林について、法令又は他の条例その他に特別の定めがあるもののほか、必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この条例において「村行分収造林」とは、土地所有者と前条の趣旨完遂のため、収益を分収して村営で造林することをいう。

(造林事業の実施)

第3条 村長は、村行分収造林事業を実施しようとするときは、土地所有者から別記様式による村行分収造林事業実施申請書を徴しなければならない。

(契約の締結)

第4条 村長は、村行分収造林を施行しようとするときは、土地所有者との間に村行分収造林契約を締結しなければならない。

(契約の存続期間)

第5条 前条の契約の存続期間は通常伐期齢を基準とし、最低40年から最高60年までを超えない期間(通常50年)とする。

(造林地の選定)

第6条 造林の対象とする土地及び面積は、申請により次に掲げる所有者、土地、面積のうちから村長が土地所有者と協議のうえ、適当と認めたものとする。

(1) 集落住民の個人所有地

(2) 〃      共有地

(3) 〃      使用地

{従来からの慣行により当該集落住民にその使用(所有、収益を含む。)を認めている土地}

(4) 集落有地

(5) 集落使用地

{従来からの慣行により当該集落(区)にその使用(所有、収益を含む。)を認めている土地}

(6) 前各号の土地の面積はいずれも0.1ヘクタール以上とする。

(地上権の設定)

第7条 村長は、当該造林地に対して土地所有者と協議のうえ、地上権を設定するものとする。

(地上権の存続期間)

第8条 前条の地上権の存続期は、第5条の契約の存続期間とする。

(原状の回復)

第9条 第4条第5条第7条及び前条の規定により、契約、契約の存続期間、地上権、地上権の存続期間が消滅した場合又は第25条の規定により解約した場合、乙は、その土地を原状に復することなく甲に返還するものとする。

(植栽樹種及び本数、面積)

第10条 植栽樹種は、原則として杉及び松とし、本数は、1ヘクタール当たり杉3,000本及び松4,000本を基準とする。ただし、必要により甲、乙協議のうえ、樹種を変更することができる。

(施業、保育、管理、計画の樹立)

第11条 村長は、村行分収造林を施行しようとするときは、土地所有者と協議のうえ施業、保育、管理に関する計画を樹立しなければならない。

(1) 植栽する樹種

(2) ヘクタール当たり樹種別植栽本数

(3) 単年度、継続年度別、施業、保育及び管理に関する事項

(4) 労働力の需給調整に関する事項

(5) 相互協力及び経費の負担区分に関する事項

(6) その他必要事項

(伐採及び処分の時期並びに方法)

第12条 造林木の間伐、主伐、販売等の時期及び方法等については、甲、乙協議のうえ、その都度決定するものとする。

(前生樹等の処置)

第13条 造林地内に現存する樹木等の処置については、甲、乙協議のうえ、その都度処置するものとする。

(費用の負担区分及び相互協力並びに分収)

第14条 この条例により施行した造林に要する費用並びに保育、管理に要する費用の負担区分及び相互協力は、次のとおりとする。

(1) 乙の負担

 前生樹の伐採、地拵え、新植、補植費(第1年目、第2年目費用)

 植栽第1年目から第15年目までの15年間の管理費

 新植後3年以内の再造林費

 有害鳥獣及び病害虫の防除費

 境界標その他標識等の設置費

 造林地の巡視に要する費用

 地上権設定登記及びその他の費用

(2) 甲の負担

 造林地に対する公租公課及び地代

(3) 甲の協力

 甲は乙に対し前生樹の伐採、地拵え、新植、補植、その他植栽第1年目から第15年目までの15年間の管理業務について労働力を提供するものとする。

 火災の予防及び消火

 盗伐、誤伐、加害行為の予防及び排除

 有害鳥獣及び病害虫の発生予察並びに防、駆除

 境界標その他標識の保全

 各種道路、境界標その他標識等の破損防止及び小破修理

 造林、保育のための事業に必要な労務の調達

 甲は造林地又は造林木等について第2号から第6号までの被害等が生じたとき、又はおそれのあるときは、直ちに乙に報告するものとする。

(4) 収益の分収

 この契約の造林に係る収益は、

 100分の60

 100分の40

とし、収入の都度分収する。ただし、必要と認めるときは甲、乙協議のうえ、伐積をもって分収することができるものとする。

 の収益とは、造林木の売払代金から伐積調査及び売払に要した経費(伐採、搬出、加工等を行ったときはこれらに要した経費)を差し引いた金額とする。

 アのただし書により伐積をもって分収するときは分収する伐積調査及び分収に要した経費並びに伐採、搬出、加工等を行ったときはこれらに要した経費を時価によって伐積に換算した伐積を差し引いた伐積を収益とみなし、分収するものとする。

 収益の確定及び配分は乙が行うものとする。

 からまでの規定は、間伐木の収益の場合にも準用する。

(造林木の所有)

第15条 この条例により施行した造林木及び施行後自然に生じた樹木(みなし造林木)で造林木と共に生育させたものは造林木とみなし、甲、乙の共有とし、その所有割合は前条第4号の収益の分収割合に等しいものとする。

(補助金の申請及び収入)

第16条 この条例により施行した造林事業に対する補助金、奨励金等の交付申請は、乙が代表(村長)名により申請し、交付を受けるものとする。

2 損害賠償金等はすべて乙の収入とする。

(森林国営火災保険の加入)

第17条 この条例により施行した造林木に対する森林国営火災保険は、乙が加入の上保険料を支払い、かつ、保険金の受取人となる。

(再造林の協議)

第18条 火災、天災、その他甲、乙の責に帰し得ない事由により、保険に加入している森林木がり災したときは、植栽後3年間は再造林するものとし、以後の再造林については甲、乙協議のうえ、決定する。

(危険負担)

第19条 造林地及び造林木について火災、天災、地変その他やむを得ない事由による損害については、乙は責任を有しないものとする。

(地形の変更)

第20条 造林地域内において林業経営のために林道又はその他の事由により林地の現状を変更する必要がある場合には、甲、乙協議のうえ、決定、処置するものとし、乙はこれによる現状回復の業務を負わないが、乙の都合(計画等)で変更した場合は、現状回復の業務を行う。

(造林地の使用)

第21条 公用又は公益の事業、甲の申出により必要があるとき、又は造林地の経営に支障のないときは、造林地の一部を甲、乙協議のうえ、他の者に使用させることができるものとする。

(分収権の譲渡制限)

第22条 この条例による分収権を第三者に譲渡又は担保に供することはできない。

(相続)

第23条 甲の側に資産相続があった場合は、速やかに乙に報告するものとする。

(第三者の苦情)

第24条 甲は、契約締結後第三者(共有者等)から異議の申立て又は権利を主張する者があってこの造林事業に支障が生じたときは、自己の責任においてこれを解決し、乙が損害を被ったときは、乙に対しその損害を賠償するものとする。

(相互の責務遂行及び解約等)

第25条 甲、乙いずれかが正当な理由なく業務を遂行しないため、相手方がこの契約の目的を達成することができず、又は不利を被ったときは、甲、乙協議のうえ、この契約を解約若しくは変更することができる。この場合、相互間にその損害の義務を負うものとする。ただし、法規の改正、公用、公益、天災その他不可抗力によって計画を変更し、契約の目的を達成することができなくなったとき、又は第18条の協議が整わなかったときはこの限りでない。

2 本条において解約する場合においては、造林木は適正に評価し、第14条第4号の規定による分収を行うものとする。

(残存木等の帰属)

第26条 造林木の主伐が終了し、又は契約が解約若しくは解除された場合において、収益の分収が完了した後に造林地上に残存する造林木又は造林木の買受人が、買受けた造林木に関する権利を放棄したため、造林地に残置された造林木は、甲の所有に帰属する。

(補則)

第27条 この条例に定めるもののほか、造林、保育、管理その他必要な事項は、村長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

別記様式 略

粟島浦村村行分収造林条例

昭和56年3月23日 条例第8号

(昭和56年3月23日施行)